日本人トレーダーの利用者も非常に多い海外FXですが、実は海外FX会社の多くが日本の金融庁の許可を得ずに運営しています。
海外FX会社では独自で外国の金融ライセンスを取得していることが多いです。
外国の金融ライセンスにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や信頼性が異なります。
今回は各国の金融ライセンスについてひとつずつ詳しく見ていきましょう。
金融ライセンスとは?
そもそも金融ライセンスとは何かご存知ですか?
海外FX会社を運営するためには地域ごとに運営するための許可証が必要となりますが、この事業するための許可証こそが「金融ライセンス」なのです。
金融ライセンスを取得するための審査項目には、取引環境やサポート体制や運営状況などさまざまなものがありますが、審査項目は金融ライセンスごとに異なります。
日本の金融ライセンスを取得していない海外FX会社であっても、外国の金融ライセンスを取得していればある程度の信頼性はあります。
しかし金融ライセンスによっては、登録料を払うだけで金融ライセンスを取得できるところもあるので、金融ライセンスごとの特徴を知っておくことが大切です。
キプロス証券取引委員会(CySEC)
ギプロスの金融ライセンス「CySEC」を取得するためには厳しいチェックが行われるため、CySECは取得難易度が非常に高いとされています。
CySECは、投資家の保護・金融システムの安定と発展・登録金融機関の監督を徹底して行っており、顧客が安心してFX取引できる環境を整えています。
CySECは、ギプロスが2004年にEUに加盟してから現在まで「MiFiD」のルールに従っています。
MiFiDに準拠しているCySECを保有している海外FX会社は、欧州全域での営業も認められています。
運営会社・親会社・グループ会社がCySECを取得している海外FX会社は、信頼度が高いと考えてよいでしょう。
顧客資産を分別管理しなければならない
CySECを取得した海外FX会社は、顧客の資産を分別管理することが義務付けられています。
分別管理とは、顧客の資産と海外FX会社の運営資金を別の銀行口座に分けて保管・管理することをいいます。
登録している海外FX会社に補償機関への加入を義務づけている
CySECを取得する際には、補償機関ICF(投資家補償基金)への加入が義務付けられています。
ICFに加入すると、万が一海外FXが破綻した際に、最大2万ユーロ(1ユーロ120円で換算して約240万円)の補償が受けれます。
補償機関に加入しているという安心感は高いですが、日本に住むトレーダーは残念ながらCySECを取得している海外FX会社を利用できません。
そのため日本人向けの海外FX会社では海外FX会社の運営元がCySECを取得し、実際に口座開設し取引を行う海外FX会社は別の金融ライセンスを取得しています。
2016年に規制が強化された
2013年に起きたギリシャショックなどが要因となり、CySECではこれまで以上に規制を強化するようになりました。
実際にCySECは、海外FA会社に対し2016年11月に以下のような新しい規制方針を発表しています。
- ゼロカットシステムを完備すること
- 出金処理を原則として翌日までに行うこと
- 新規口座開設はレバレッジ50倍に規制し、トレーダーの適性を見際寝る必要がある
- トレーダーの不要なリスクを排除するために取引高に応じたボーナス提供を禁止
今後もCySECが規制強化することは十分に考えられます。
ケイマン諸島(CIMA)
ケイマン諸島は、アメリカの南に位置するカリブ海にある島です。ケイマン諸島はイギリスの領土であり、イギリスの法律に従っています。
ケイマン諸島は世界でも有数の金融センターであり、政治・経済ともに安定しています。
ケイマン諸島の金融庁「CIMA」は透明性の高い国際金融センターであり、金融ライセンスの要件が全て公開されています。
CIMAライセンスの要件には以下のようなものがあります。
- 決算の提出
- 月次取引明細の報告
- 内部資金管理状況の報告
- コンプライアンス証明の提出
- 外部監査の実施(毎年)
CIMAでは2020年の統計を見ると、110の銀行と10,709のミューチュアル・ファンドを監督しています。
このようにCIMAでは、有名な保険会社やメガバンクを含む1万社以上の銀行などの企業を監督していることが分かります。
当サイトでおすすめしている海外FX会社8社の中で、CIMAのライセンスを取得しているのはTradeview Forexのみとなっています。
Tradeview Forexでは
- CIMAのライセンスを取得
- 顧客の資産を運営資金と別に分別管理
- 信託保全がある
- 1顧客あたり35,000ドルまで補償
しているため、安心して取引できる海外FX会社だと言えます。
Tradeview Forexで口座開設する
Tradeview Forexの詳細はコチラ
信頼度が平均的~低い金融ライセンス
次に信頼度が平均的~低めの金融ライセンスについて紹介していきます。
セーシェル共和国(FSA)
セーシェル共和国、東アフリカ沖にある115の島から構成された共和国です。
セーシェル金融サービス庁は2013年に設立されてから、セーシェル国内にある銀行以外の金融サービスを監督しています。
FSAでは、最低自己資本金要件・会計監査・会計書記役が必要ないなど規制が緩く、比較的に簡単に取得できるライセンスだと言えます。
規制が緩いこと・取得難易度が低いことから、ライセンスとしての安全性には欠けます。
しかし業界最大手のXMTradingはFSAを取得しています。ライセンス的な信頼度は低いものの、なぜXMTradingはFSAを取得しているのでしょうか。
あまりに規制が厳しいライセンスを取得してしまうと、高いレバレッジやボーナスを提供できなくなってしまいます。
XMTradingでは、資金が少ない人でもFX取引ができるようなサービスを提供するために、あえてFSAを取得していると考えられます。
確かに信頼度の高い金融ライセンスを取得している海外FX会社は安心して利用できますが、金融ライセンスだけを見て海外FX会社を選ぶのは勿体ないかもしれません。
XMTradingのように金融ライセンスの信頼度は低いとしても、総合的なサービスやサポート体制が整っているかどうかも大切なポイントとなります。
イギリス領バージン諸島(BVIFSC)
イギリス領バージン諸島はカリブ海にある島国です。イギリス領バージン諸島は2010年に、世界40位の金融センターとなりました。
BVIFSCは2001年に設立されて以降、イギリス領バージン諸島にある全ての金融機関を監督しています。
イギリスの金融ライセンスと言えば、最初に紹介した信用度がかなり高いFCA(金融行為規制機構)もあります。
しかしFCA(金融行為規制機構)と比べるとBVIFSCは取得要件が低く、万が一海外FX会社が破綻しても補償などはなく、金融ライセンスとしての信頼度は平均的です。
ニュージーランド金融市場統制局(FMA)
ニュージーランドの金融ライセンスは規制が非常に緩いことで有名でした。
規制の緩さから監督していた金融機関が破綻するケースが増え、ニュージーランドの金融ライセンスの信用は下がってしまいました。
ニュージーランドの金融ライセンスの信用を回復し、顧客が安心して取引できるように誕生したのがニュージーランド金融市場統制局(FMA)です。
2019年にはFMAの規制が厳格化され、定期的に管轄の金融機関を監査し指導も行っています。
またガイドラインを定期的に更新し、時代の流れに合わせた監査基準を定めています。
FSPRとは別の組織である
ニュージーランドの金融ライセンス「FMA」とよく間違われるのが「FSPR」です。
FSPRとは正式名称を「Financial Service Providers Register」といい、日本語では「金融事業登録」という意味があります。
FMAがニュージーランドの正式な金融監督機関であるのに対し、FSPRとは登録した金融サービス提供会社を名簿で管理する組織です。
FSPRはニュージーランドの金融ライセンスとは全く関係ありません。
FSPRへの登録は簡単であり、FSPRを登録しているだけではニュージーランド国内で金融サービスを提供することはできません。
日本人人気の高い有名な海外FX会社「Gemforex」では、FMAを取得していませんがFSPRには登録しているようです。
しかしGemforexの公式サイトを見ると、ニュージーランド金融ライセンス番号:FSP564306と記載されています。
何も知らない人は、ちゃんとニュージーランドの金融ライセンスを取得していると思うかもしれませんね。
しかしGemforexはニュージーランドの金融ライセンスFMAは取得していないので注意が必要です。
とはいえGemforexはサポート体制も整っており運営実績もあるため、多くの人が利用しています。
Gemforexで口座開設する
Gemforexの詳細はコチラ
バヌアツ共和国(VFSC)
バヌアツ共和国は南太平洋にあり、80ほどの島で構成される小さな島国です。
VFSCは2019年の3月に新しい規制政策を発表されました。新規制政策には以下のようなものがあります。
- VFSC取得業者には専門職業賠償責任保険への加入が義務付けられる
- 金融機関を監査する独立監査法人は事前にVFSCの認可を得なければならない
- 全ての法人の取締役は少なくとも5年の証券取引経験が必要である
- 法人の経営者や取締役は1年のうち6ヶ月以上はバヌアツに滞在する必要がある
これまでVFSCは規制が緩い金融ライセンスでしたが、新規制政策が発表されてからは信頼度は高まりました。
オーストラリア(ASIC)
ASICは1998年に設立されたオーストラリア優位つの金融監視機関です。
オーストラリアで金融サービスを提供するのであれば、ASICを取得する必要があります。
日本居住者はAISC取得の海外FX会社を利用できない
2014年以前は、日本に住んでいるトレーダーもASICの金融ライセンスを取得した海外FX会社を利用できていました。
しかし2014年になると日本の金融庁の要請により、Pepper Stone・Vantage FX・Anzo Capital Marketsなど多くのASIC取得海外FX会社が日本から撤退しました。
現在は残念ながら、日本に住むトレーダーがASICを取得した海外FX会社で新規口座開設することはできません。
これから新しい海外FX会社が誕生してAISCを取得していたら、口座開設はおすすめできません。
そのうち日本から撤退する可能性が高いからです。
しかし運営会社やグループ会社がASICライセンスを取得した海外FX会社であれば、ある程度信頼度は高いと考えてよいでしょう。
セントビンセント・グレナディーン(FSA)
セントビンセント・グレナディーンは南アメリカ大陸の北側にある諸島群で、イギリスの領土です。
セントビンセント・グレナディーンは自然災害・競争力の低さ・セキュリティ性の低い銀行システムなど、国としての課題がたくさんあります。
FSAはセントビンセント・グレナディーン内で登録されている金融機関の監督を行っています。
当サイトでおすすめする海外FX会社8社の中では「LAND-FX」「bigboss」「IS6FX」がFSAを取得しています。
FSAは規制が緩く取得難易度も低いので、信頼度はあまり高いとは言えません。
ベリーズ(IFSC)
IFSCの規制はかなり緩く、事業の実態のない企業でも簡単にライセンスを取得できます。
IFSCを取得した海外FX会社は、金融ライセンスの面で考えると信頼度が低いと言えます。
金融ライセンスを含め総合的に判断して海外FX会社を選ぼう
今回は海外FX会社が取得している外国の金融ライセンスについて詳しく紹介していきました。
金融ライセンスを取得しているかどうか、取得した金融ライセンスの信頼度は海外FX会社を選ぶ際に大切なポイントとなります。
しかし金融ライセンスの信頼度だけでなく、サポート体制・取引環境・評判・実績など、総合的に判断することが大切です。
コメント