移動平均線とはFX取引で使われる「インジケーター」のひとつです。移動平均線はシンプルでありながら有効性が高いため、初心者だけでなくプロのトレーダーでの愛用者が多いです。
これから海外FXを始める予定の人は「ローソク足」や「ダウ理論」に加えて、移動平均線についてもしっかり理解を深めておきましょう!
今回は移動平均線の仕組みや種類など特徴について詳しく解説していきます。またMT4上で移動平均線を表示させる方法も紹介します。
海外FXでよく使われる移動平均線とは?
移動平均線とは、過去の一定期間の終値の平均値を線で表示したインジケーターです。以下の画像の赤い曲線が移動平均線です。
移動平均線を表示させる際には「期間」を設定します。仮に期間を「20」と設定した移動平均線は、直近20日間の終値の平均値を表します。
期間を「200」と設定した移動平均線は、直近200日間の終値の平均値を表します。
よく使われる移動平均線の期間設定は?
移動平均線の期間はそれぞれが自由に設定できます。自由がゆえに海外FX初心者の人は期間の設定をどうすべきか悩んでしまうでしょう。
一般的な移動平均線の期間設定は以下を参考にしてください。
【短期】10・15・20・21・25など
【中期】50・75・100など
【長期】200など
移動平均線には4つの種類がある
移動平均線には以下の4種類があります。
- 単純移動平均線(SMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
- 平滑移動平均(SMMA)
- 加重移動平均線(WMA)
- 線形加重移動平均(LWMA)
ここでは4種類の移動平均線について、それぞれ特徴など詳しく解説していきます。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線は、最もシンプルな移動平均線で一定期間の終値を平均したものです。
単純移動平均線はシンプルで分かりやすいので、海外FX初心者にもおすすめ。プロのトレーダーでも単純移動平均線を使っている人は多いです。
単純移動平均線のデメリットとしては、レートが急激に動くとその動きについていけないことです。
指数平滑移動平均線(EMA)
指数平滑移動平均線は直近の価格の比重をおいた移動平均線で、単純移動平均線よりも相場の動きに素早く対応することができるのが特徴です。
反応が早いのは良いことですが、その分単純移動平均線よりダマシも多くなる可能性が高いです。
平滑移動平均(SMMA)
平滑移動平均は指数平滑移動平均線を改良した移動平均線です。ノイズを除去し、単純移動平均線や指数平滑移動平均線よりも滑らかな曲線を描きます。
単純移動平均線よりも長期的なトレンドを確認するのに便利です。
加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線は単純移動平均や指数平滑移動平均よりも直近の価格に比重をおいています。そのためトレンドが出ている局面では現在の価格に最も近い水準で動きます。
トレンド相場や短期足で取引する際に加重移動平均線は活躍します。
しかしレンジ相場やレートが乱高下している局面では、単純移動平均や指数平滑移動平均よりもノイズが大きくなってしまいます。
線形加重移動平均線(LWMA)
線形加重移動平均線は直近の値動きに比重をおくことで、単純移動平均の反応の鈍さを解消した移動平均線です。
線形加重移動平均線はレートの動きが緩やかな相場で有効ですが、レンジ相場やレートが急激に動いた局面では有効性が低くなります。
海外FXにおける移動平均線の活用方法について
海外FXにおいて移動平均線は、今の状況が「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ」のどの相場なのか、環境認識するのに役立ちます。
また移動平均線はエントリーする根拠のひとつとしても使えます。ここでは海外FXにおける移動平均線の活用方法を紹介します。
環境認識に役立つ
移動平均線は現在の相場が「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ」のどの状況にあるのか、環境認識に役立ちます。
移動平均線とローソク足の位置関係と移動平均線の傾きで環境認識を行います。
上昇トレンド相場の場合
上昇トレンド相場の場合、下画像のようにローソク足が移動平均線より上にあり、移動平均線が上に傾きます。
下降トレンド相場の場合
下降トレンド相場の場合、下画像のようにローソク足が移動平均線より下にあり、移動平均線が下に傾きます。
レンジ相場
レンジ相場の場合、下画像のように移動平均線の傾きが横ばいでとローソク足の位置関係が定ままっていません。
エントリーの根拠として使える
移動平均線はエントリーの根拠としても使えます。有名なものに「ゴールデンクロス」「デッドクロス」「パーフェクトオーダー」があります。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜けることを言います。
ゴールデンクロスが発生すると、これから相場が上昇するサインになります。移動平均線の傾きがきついほど信頼度が高まります。
デッドクロス
デッドクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜くことを言います。
デッドクロスが発生すると。これから相場が下降していくサインになります。動平均線の傾きがきついほど信頼度が高まります。
パーフェクトオーダー
パーフェクトオーダーとは短期・中期・長期の3本の移動平均線を表示させ、移動平均線の並びから上昇トレンド・下降トレンドを判断するのに役立つサインです。
上昇トレンドの場合、下画像のように移動平均線が上から短期→中期→長期の順に並んだ状態です。
下降トレンドの場合、下画像のように移動平均線が上から長期→中期→短期の順に並んだ状態です。
パーフェクトオーダーも移動平均線の傾きがきついほど信頼度が高まります。
MT4で移動平均線を表示させる方法
ここではMT4で移動平均線を表示させる方法を解説します。まずMT4を開きましょう。
上にあるタブから「挿入」をクリックすると、その下に「インディケーター」と出るのでクリックします。そして次に右側出てくる「Moving Average」をクリックします。
すると移動平均線の期間などを設定する画面が開きます。
「期間」「移動平均線の種類」「スタイル」を自由に設定しましょう。移動平均線の種類は「Simple」をクリックすると表示されます。
上から
- 単純移動平均線(SMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
- 平滑移動平均(SMMA)
- 線形加重移動平均(LWMA)
となっているので、好きな種類を選びましょう。スタイルは移動平均線の色や線の種類・太さを選べます。
スタイルは、左から「線の色」「線の種類」「線の太さ」です。設定が終わったら「OK」を押して完了です。
2本目、3本目の移動平均線を表示させたいのであれば、同じ工程を繰り返しましょう。
グランビルの法則8つの法則を解説!使えない噂の真相は?
移動平均線を使ってテクニカル分析を行う際に「グランビルの法則」もよく使われます。
グランビルの法則とは、アメリカのチャート分析家であるジョゼフ・E・グランビル氏が提唱した理論で、移動平均線とローソク足の乖離(かいり)の度合いや方向性から価格の今後の動きを予測判断します。
ネットでグランビルの法則を検索すると「使えない」という言葉も出てきます。ここではグランビルの法則について詳しく解説するとともに「使えない」という噂の真相も解明していきます!
グランビルの法則で使う移動平均線の数値や設定・時間足
グランビルの法則では1~4時間足に200日移動平均線を表示させることを推奨します。
なぜなら長期足に表示させた200日移動平均線は多くの人が見ているため、グランビルの法則も機能しやすいからです。
しかし絶対に200日移動平均線でなければならない!ということではありません。
デイトレを行う場合は15分~1時間の中期足に表示させた50日移動平均線や75日移動平均線でグランビルの法則を見てもいいです。
初心者の人はどの時間足にどの移動平均線を表示さればいいか迷ってしまうと思うので、とりあえず1~4時間足に200日移動平均線を表示させてみましょう。
グランビルの法則は8つの法則で成り立っている
グランビルの法則には、買い4通り・売り4通りの、全部で8通りの法則があります。
グランビルの法則:買いの法則について
まずグランビルの法則・買いの法則について解説します。下の画像は実際のチャート画面でグランビルの法則・買いの法則を示した部分です。
1~4の法則についてひとつずつ見ていきましょう。
①新規買い |
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②押し目買い |
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③買い増し |
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④短期の買い |
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グランビルの法則:売りの法則について
次にグランビルの法則・売りの法則について解説します。下の画像は実際のチャート画面でグランビルの法則・売りの法則を示した部分です。
5~6の法則について詳しく見ていきましょう。
⑤新規売り |
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⑥戻り売り |
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⑦売り増し |
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⑧短期の売り |
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グランビルの法則が使えない・勝てない理由は?
グランビルの法則が最強に使える!という人もいれば、グランビルの法則が全く使えない・勝てないと考える人もいるでしょう。
グランビルの法則を使うためには8つの法則の特徴をしっかり理解しなければなりません。見当違いな場面で「グランビルの法則だ!」とエントリーしても勝てないでしょう。
海外FX初心者の人でグランビルの法則が使えない・勝てないと思っている人は、今一度グランビルの法則について理解を深めてくださいね。
移動平均乖離率とは?
移動平均乖離率とは、現在の価格が移動平均線からどれくらい離れているかの比率のことです。下図をご覧ください。
チャートに25日移動平均線を表示させています。現在の価格と移動平均線の間に空間があるのが分かりますが、ここが移動平均乖離率となっています。
なぜ移動平均線乖離率を根拠に取引できるかというと、先ほど紹介した移動平均線の「グランビルの法則」があるからです。
グランビルの法則には8つのシグナルがありますが、移動平均乖離率に関係するグランビルの法則は、以下の2つとなっています。
【買いの法則:④短期の買い】下向きの移動平均線から現在の価格が大きく離れた時
【売りの法則:⑧短期の売り】上向きの移動平均線から現在の価格が大きく離れた時
どちらも、ローソク足が移動平均線から離れたところで買いもしくは売りエントリーを行います。
現在の価格と移動平均線までの乖離が大きくなればなるほど、移動平均線に引き寄せられる力が強くなります。
25日移動平均線+エンペロープを使った具体的な取引手法
ここでは移動平均線乖離率を使った取引の精度を高めるために、25日移動平均線+エンペロープを使った具体的な取引手法を紹介していきます。
Envelopes(エンペロープ)とは移動平均線からの乖離率を%で求めたインジケーターで移動平均乖離率を使った取引に有効活用できます。
エンペロープの設定方法
Envelopes(エンペロープ)とは、MT4やMT5に標準で入っているインジケータです。
ここではMT5でエンペロープを表示させる方法と設定を紹介します。MT5上部にある「挿入」を押して「インジケーター」→「トレンド系」→「Envelopes」を押します。
「Envelopes」を押すと以下のような設定画面が開きます。
上部にある「パラメーター」のタブで設定を行います。
期間 | 使用する移動平均線の日数を入力します。今回は25日移動平均線を使いたいので「25」を入力しましょう |
偏差 | 偏差は乖離幅のことです。設定する数値は人それぞれですが、今回は「0.25」を入力します |
適用価格 | ここは初期設定のまま |
上バンド | 移動平均線の上に表示されるバンドの色や線の太さをお好みで設定します |
下バンド | 移動平均線の下に表示されるバンドの色や線の太さをお好みで設定します |
シフト | ここは初期設定のまま |
種別 | 移動平均線の種類を選びます。今回は「simple」を選びましょう |
偏差の数値については今回0.25を使いましたが、一般的に25日移動平均線を使う際には「0.25」や「0.3」がよく使われます。
具体的なエントリーポイントについて
ではさっそく、ドル円の1時間足チャートに25日単純移動平均線と偏差0.25%のエンペロープの2つを表示させてみます。
真ん中のオレンジの線が25日単純移動平均線で、その上下にある水色とピンク色の線が偏差0.25のエンペロープです。
損切りを20pips・利確を25日単純移動平均線に価格が到達した部分で見ていきます。
2021年5月31日からのドル円1時間足チャートを見ていきます。
まず最初に、ピンク色のエンペロープに価格が到達しました。エンペロープに価格が到達したら、その次の足で損切を20pipsに設定して買いエントリーを行います。
その後価格が25日単純移動平均線に達したところで利確。結果は、約+18pipsでした。
次に水色のエンペロープに価格が到達しました。エンペロープに価格が到達したら、その次の足で損切を20pipsに設定して売りエントリーを行います。
その後価格が25日単純移動平均線に達したところで利確。結果は、約+25pipsでした。
その後、再び水色のエンペロープに価格が到達しました。エンペロープに価格が到達したら、その次の足で損切を20pipsに設定して売りエントリーを行います。
ここでは狙いと逆方向に価格が進み、損切りにかかってしまいました。
この例では3回エントリーして、2回が勝ちトレード・1回が負けトレード、取れた値幅は約23pipsでした。
注文と同時に損切を設定しよう
今回の条件でエンペロープを設定して表示させると、大体エンペロープ内で価格が推移していることが分かります。
しかし経済指標や要人発言などで価格が大きく動くと、エンペロープの外に価格がはみ出すことはあります。
そのため、今回は損切を20pipsに固定しましたが、自分のルールや資金力に合わせた損切を注文と同時に設定するようにしてください。
移動平均線の基本的な使い方をしっかりマスターしよう
移動平均線はとても基本的なインジケーターです。しかし応用方法も多いので、まずは移動平均線の基礎からしっかりと覚えるようにしてください。
トレーダーによって移動平均線の数値設定が異なるので悩んでしまいますが、使っていて自分が使いやすい数値を見つけていきましょう!
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