これから海外FXで稼いでいくつもりであれば、税金と付き合っていかなければなりません。
利益を出しているのに確定申告せず脱税になり逮捕される…ということにならないためにも、税金や確定申告についての知識はしっかり付けることが大切です。
海外FX取引では利益より損失が大きくなり、年間の収支が赤字になってしまうことがあります。
今回は海外FXにおける税制を日本FXの税制と比較しながら、赤字になった際に確定申告が必要になるかどうかを見ていきましょう!
海外FXにおける税制について
海外FXで利益を出した場合、利益から経費を引いた「所得」に対する「所得税」と「住民税」を支払わなければなりません。
海外FXで出した利益は「雑所得」に分類され「総合課税」という課税方式が適用されます。
海外FXで出した利益に対する住民税の税率は10%となっています。
総合課税における所得税は
- 海外FXで得た利益
- その他の所得(給与所得など)
を合わせた金額に対して税率がかけられます。税率は以下の通りです。
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円以上330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円以上695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円以上900万円以下 | 23% | 636,000円 |
18,00万円以上 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
このように海外FXでは利益を出せば出すほど税率があがっていきます。
今の自分の税金がどれくらいかは以下の記事の「海外FXの税金計算ツール」をぜひ活用してください
海外FXでは損失繰越控除が適用されない
海外FXでは、海外FXで生じた損失に対する「損失繰越控除」が適用されません。
損失繰越控除とは損失が大きく赤字になってしまった場合に、損失分の金額を翌年以降の利益から控除できる制度のことです。
海外FXでは損失繰越控除が適用できないため、仮に今年は赤字で翌年黒字になっても、前年度の赤字分を翌年には繰り越せません。
海外FXでは内部通算は適用される
海外FXでは「内部通算」は適用されます。内部通算とは、同じ税区分の所得であれば黒字と赤字を通算できる制度のことです。
海外FXで得た利益から経費を引いた所得は「雑所得」に分類され「総合課税」という課税方式が適用されるため、以下のような所得と内部通算が可能となっています。
具体的な例を出してみます。アフィリエイト・海外FX・仮想通貨取引・転売で利益があるとします。また海外FXでは3社の海外FX会社を利用していることにします。
収入 | 損益 |
アフィリエイト収入 | +50万円 |
海外FX会社① | -200万円 |
海外FX会社② | +80万円 |
海外FX会社③ | -30万円 |
仮想通貨取引 | +10万円 |
ネット転売 | +5万円 |
総合所得 | -85万円 |
上記の例では雑所得の合計が-85万円となりました。
税区分が違う所得とは損益通算できない
日本FXでの利益は申告分離課税・海外FXでの利益は総合課税とそれぞれ税区分が異なるため、日本FXでの利益と海外FXでの利益を通算することはできません。
先ほどの例では海外FXの利益を含めた雑所得の合計が-85万円となりました。
仮に日本FXでの利益が100万円あったとしても、海外FXでの損失-85万円と通算して合計所得を15万円にはできないということです。
日本FXと海外FXでは税制が異なる
同じFXでの利益ではありますが、日本FXで得た利益と海外FXで得た利益では税制が異なります。
日本FX | 海外FX | |
税区分 | 申告分離課税 | 総合課税 |
所得の分類 | 雑所得 | 雑所得 |
所得税 | 一律15% | 所得が上がるほど高くなり最大税率45% |
住民税 | 5% | 10% |
内部通算 | できる | できる |
損益通算 | 税区分が異なる所得ではできない | 税区分が異なる所得ではできない |
損失の繰り越し | できる | できない |
総合所得が330万円以下までであれば、国内FXの税率よりも海外FXの税率の方が安いです。
しかし総合所得が330万円を超えると、国内FXの税率より税率が高くなってしまいます。
海外FXで赤字になったら税金は払う必要がある?
給与所得者で確定申告が必要な人については、国在庁HPで以下のように書かれています。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
- 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人(注) 給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
引用元:国税庁HP
「給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」と書いてあるので、海外FXで得た利益から経費を引いた所得が20万円以上で確定申告が必要になることが分かります。
そのため会社員・パート・アルバイト・収入のない主婦の人で海外FXにおける1年間の所得が赤字であれば確定申告は不要で税金を払う必要もありません。
個人事業主の場合は海外FXにおける1年間の所得が赤字であれば、海外FXの赤字分に関しては確定申告が不要です。
しかし海外FXと税区分が違う所得で黒字になっていれば、その分に対する確定申告は必要となり税金も発生します。
日本FXで赤字が出たら確定申告で損失申告しよう
日本FXで赤字になった場合、確定申告で損失申告することで繰越控除を受けれます。
損失申告については令和元年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き 損失申告用で以下のように書かれています。
各種所得金額の損益を通算した結果、純損失の金額(※1)が残ったとき又は雑損控除(a『所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き 確定申告書B用』の●ページ)の結果、控除不足額が生じたときなど次の損失が生じた場合で、かつ、一定の条件に当てはまる場合に、その純損失の金額及び雑損失の金額(※2)を翌年以後3年間にわたり、一定の方法により繰り越すことができます。この繰越しをする場合には、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、かつ、その後連続して確定申告書を提出することが必要です。この申告を確定損失申告といいます。
※1純損失の金額とは、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の4つの所得の損失の金額のうち、損益の通算(a2ページ)をしてもなお控除しきれない金額をいいます。
※2雑損失の金額とは、災害や盗難、横領によって資産(生活に通常必要でない資産(別荘や骨とう品、事業用以外の競走馬などの資産)を除きます。)に受けた損失額(保険金、損害賠償金などで補塡される金額を除きます。)のうち、災害等が生じた年分の雑損控除として控除しきれない金額をいいます。
簡単に説明すると、日本FXの赤字と他の所得を損益通算して赤字が残った場合に青色申告を行うと、翌年以降の3年間の所得金額から繰越控除が受けれます。
日本FXで赤字が出た場合は必ず確定申告を行いましょう!
海外FXで赤字になれば確定申告が原則必要なし!
海外FXで1年の所得が赤字になった場合、会社員・パート・アルバイト・収入のない主婦は確定申告の必要が原則必要ないことが分かりました。
個人事業主の場合は海外FXで赤字になったらその分は確定申告が不要ですが、事業所得などほかの所得が黒字になった場合は確定申告が必要です。
会社員は20万円以上、パート・アルバイト・収入のない主婦は48万円以上、個人事業主なら1円でも所得が黒字になれば、必ず確定申告するようにしてくださいね。
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